嶽神伝

嶽神伝 長谷川卓さん

著者 長谷川卓さん

 嶽神伝シリーズ全8作の著者、長谷川卓さんの命日は2020年11月4日です。

 三年前に発病した悪性リンパ腫との闘病生活の末、逝去されました。闘病生活のなかでも原稿を書き上げ、嶽神伝は無坂最後の章、風花が最後の作品となりました。

感謝しています

 もうすぐ(今日は2022年10月31日)三回忌を迎えます。

 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。思うに、大好きな自然の中で安らかにお過ごしいただければ・・と願うばかりです。

 嶽神伝は多くの読者の心に刺さる物語です。山の民、山の者の語る言葉は少ないながらも人の本質の確信をつく言葉ばかりで、また、誰に対しても決して驕らず目上の人を敬い、年下にも礼節を重んじる謙虚な姿勢は「こうでありたい」と思わせる理想の人間像でした。

 

 

主人公の生き様

 若いころはテントを担いであちこち旅をして暮らしていた。こう語っていた長谷川さんですが、嶽神伝の山の民、山の者は、長谷川さんの理想とする生き方を描いたものなのではないかと勝手に解釈しています。各物語の主人公、南稜七ッ家の二ッ、小暮衆の無坂、四三衆の月草、涌井谷衆の多十。それぞれ暮らしの場所や戦い方は違いますが、根本的にどの主人公も「自分のため」には戦い争うことはしません。穏やかに山とともに暮らしたい、それが願いなのですから・・。

 でもひとたび、義理や恩義、弱いものを助けたい、という義の心が働くと、彼らは自身の命を賭して戦います。決して折れることなく最後まであきらめずに・・。それが山の者の強さなのでしょう。

 長谷川さんもこのように生きてきたんだろうな・・と思わずにいられません。

最後に・・

 著者、長谷川さんは嶽神伝の登場人物の中で、誰に一番自分を重ねていたのかな、と考えてしまいます。たくさんの登場人物がいて、誰もが魅力的な人物なのでなかなか誰、とは言えないのかも知れませんが・・。

 勝手ながら、当ブログでは「無坂×ログ」というサイト名を謳わせていただいております。

 嶽神伝という物語に、何度もくじけてへたれこんでいる自分を奮い立たせてもらい、また困難に立ち向かう勇気をもらいました。ここぞという時はいつも山の者の言葉を、行動を思い出し前に進んできました。きっと、このように感じているファンはたくさんいると思います。こんな素敵な物語を描き上げてくださり、本当にありがとうございました。

 無坂、月草、真木備等と二ッや弥蔵や山の者の話などをして、穏やかに安らかにお過ごしください。

 心より、ご冥福をお祈り申し上げます。

Rogueだけど冒険と自然と本が大好きなHunter&Writer