冒険

槐(月村了衛 著)

爽快・痛快・スピード感満載

 槐(エンジュ)というタイトルですが、これが物語の主人公の名前です。かっこいい名前ですね。国際的です。スリルがあってスピード感満載の痛快で爽快なアクション小説です。こういうお話は月村了衛さん(月村了衛 – Wikipedia)さすがです!と感嘆してしまいます。

 現代版の木枯らし紋次郎・・?座頭市・・?ちょっと違うな・・必殺仕事人・・?いやこれも違うかな・・適切なものが浮かびません。。が、素性を隠して「ここぞ」という時に悪人をバッサバッサと倒すさまは似ています。こういうのはスカッとするんですよね。

中学校の野外活動部でキャンプ

 夏休みの伝統行事として、水楢中学校野外活動部が葦乃湖へ3泊4日のキャンプに出発します。1年生1人、2年生3人、3年生3人の7人に加え、引率は学校一の嫌われ者である教頭先生、そして2ヶ月前に産休の英語の先生の代理教員で入った由良季実枝先生の総勢9名。

 教頭先生は普段からネチネチと口うるさい小言が多く、基本的に受験前の3年生が合宿に行くことは、いくら伝統行事とはいえ反対の立場でした。しかし、本来の顧問の先生がケガのため、合宿に参加できなくなり、野外活動とは無縁の教頭先生が代理引率することになったのです。

 代理教員の由良先生は26歳。さえない眼鏡に流行らないひっつめ髪。お化粧などはせずに極めて不愛想かつ陰気。生徒から陰口を叩かれても全く気にせず無頓着。今回の引率もまるで無関心でやる気がない様子で参加しています。

キャンプは本来楽しいのですが・・

 学校行事のキャンプはとかく楽しいことばかり・・というイメージですが、引率の先生によっては多少違ってしまうようです。この野外活動部も引率の先生にめぐまれませんでしたね。

 ただ、このキャンプ場で「惨劇」が起こります。夕食の準備をする中学生の耳に聞こえてきたのは、ここを訪れていた人達の悲鳴と鳴り響く銃声。突如半グレ集団が乱入しキャンプ場を封鎖。宿泊客たちを次々に虐殺し始めたのです。

 周辺道路の封鎖とキャンプ場の封鎖、逃げ場はありません。乱入した武装集団は、このキャンプ場に隠された大金を狙ってきたのでした。

湖とキャンプと虐殺・・

 有名なホラーの定番で湖、若者、キャンプ、虐殺ってありがちです。でも大抵は犯人が一人で、その犯人に複数名で立ち向かいます。でも今回は始めから犯人が多数。何しろ集団です。この集団に中学生7人と引率の先生2人でどう立ち向かえばいいのでしょうか・・。

 逃げる方法は見つかるのでしょうか・・。始めこそ信じられない悪夢でも見ているかのように現実を受け止めきれない中学生たちでしたが、さすがに命の危機を前にして勇気と知恵で極限状況を乗り越えようと団結します。

展開が激変して一気読み必至

 脱出方法を探りながら武装集団をぎりぎりで回避していた中学生たちですが、さすがに相手も隠し金を探すだけあって隙がありません。

 もはやこれまでか・・という絶体絶命の危機に陥ります。

 その時・・、突然何者かが武装集団に反撃を開始します。いったい誰が・・何のために助けてくれるのか・・。その正体は・・。

 物語は一気にスピード感が増して痛快なヒーローアクションに激変します。有名ホラーとは全く違う展開に驚き興奮すること間違いなしです。またまた一気読みになっちゃいますね。

Rogueだけど冒険と自然と本が大好きなHunter&Writer