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狼・二ホンオオカミ小説の事

狼のイメージ

 「狼」「WOLF」という言葉には、少なからず誰もが何らかの感情(イメージ)を抱くと思います。勝手ながら自分は「ワクワクドキドキ」して「段々と胸が熱く」なり、自然と心拍数が上がってきます。

 ワクワクする感覚はたぶん、狼という動物に非常に興味があるからで、なぜ興味があるかと言うと、イメージとして、「孤高」「強さ」「畏怖」があるからだと思っています。実際の生態は群れで生活することが本来のスタイルなので、あまり孤高というイメージはあてはまらないのですが、絵画やイラストなどで描かれる狼の姿は、月に向かって単独で遠吠えしていたり、単独で遠くを見つめていたりするものが多いので、そこから孤高を想像してしまうんだと思います。

 でも孤高の印象がこれほど似合うのも、やはり狼の持つ風格ではないでしょうか。強さは言うまでもなく肉食でイヌ科最強。群れで行う狩りからは大抵の動物は逃れられません。畏怖に関しては信仰的な要素のイメージが強いのではと思います。現存するオオカミ(大神)信仰などは、まさに古来から守り神として畏敬の対象であったことを示しています。

二ホンオオカミに惹かれる

 さて、日本にも以前はニホンオオカミと呼ばれるオオカミが生息していました。このニホンオオカミはすでに絶滅しているのですが、その生態には多くの謎が残されており、今でも研究者の間では様々な推察や議論が行われています。

 一説では、ニホンオオカミは「大型」「小型」の二種類がいたという説があり、「大型」は上の写真のようなよく知られている「狼」、そして「小型」は昔から「山犬」と呼ばれ、狼とは別の種類として古文書に記載されているというものです。

 各地に伝わる伝承でも「オオカミ」と「ヤマイヌ」は別の種類だと思わせるものが多く、これも大きな謎となっています。化石が両方見つかるなどすれば嬉しいのですが、残念ながらニホンオオカミに関する学術的な資料は圧倒的に少ないのが事実のようです。

 この辺りがまた様々な想像をかきたててロマンを感じずにはいられないところですね。ちなみに現存するニホンオオカミとされる標本は世界でもたった数点しかなく、その個体の形はどれも微妙に違っています。製作者の感覚で作成されるので仕方ないようですが、製作者もニホンオオカミの生きている姿を見ながら標本にしたわけではないので想定で作成するのが当たり前、というのが実情のようです。

二ホンオオカミとワクワク小説

 長い話になってしまうので、ニホンオオカミについての勝手な考察は後日またこのブログでお話していきます。いや、今回は始めから小説の話をしたかったので(前置き長すぎです)さっそく3つご紹介させてください。

 オオカミが出る小説ですが、あくまで日本のオオカミのお話として登場するものを厳選しました。本当に、オオカミが日本でまだ生きていてくれたなら・・と願いながらワクワク読めるお話です。

銀狼王 熊谷達也 著

 このお話は「エゾオオカミ」が主役です。エゾオオカミは二ホンオオカミとはまた違う亜種で身体は大きくシベリアオオカミの特徴を持っています。

 エゾオオカミも残念ながら絶滅しています。「銀狼王」は絶滅寸前のエゾオオカミを追う老猟師のお話ですが、さすが熊谷さん!というべきか、リアル感に溢れたお話になっています。

漂泊の牙 熊谷達也 著                                         

このお話も熊谷さんです。「日本にオオカミはいるのか?」という大きな謎に迫る、というか答えを求める、というかロマンを感じさせる、という展開のお話です。

 作中では二ホンオオカミについての記述が多く出てきます。本当はどういった動物なのか、習性は?なぜ絶滅に至ってしまったのか・・など、いろいろ勉強になります。

WOLF ウルフ 柴田哲孝 著     

 このお話は、単独で読んでも充分楽しめますが、実はシリーズの中の1冊となっています。シリーズと言っても出てくる登場人物がシリーズ化されているだけなので、オオカミに関してはこの話で完結しています。

 これも二ホンオオカミについての記述が多く、二ホンオオカミがいるのかいないのか、とかなり作中ではドキドキさせられます。

二ホンオオカミ

 正直言って、ニホンオオカミについて小説を書くのはとても難しいことだと思います。絶滅した、という動物なので、「いる」とも「いない」とも言いにくいですよね。

 漂泊の牙とWOLFは、その難しい分野に果敢に攻めていって、読者も納得させてくれる展開になっているのでワクワクドキドキしながら一気読みできます。

 銀狼王はロマンです。美学のお話です。胸が熱くなります。以上、勝手な解釈の日本の狼を題材とした小説でした。

Rogueだけど冒険と自然と本が大好きなHunter&Writer