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子供に読ませたいシートン動物記

小学校に入ったら読んでほしい

 誰もが一度は聞いたことがことがあったり、目にしたことのある本、「シートン動物記」。特に男の子は夢中になって読んだ子も多いはずです。今から100年以上前にアメリカで刊行されてから、今なお世界中の子供たちに愛されています。

 アメリカの博物学者アーネスト・トンプソン・シートンが、自身の体験したこと、自身で聞いて集めた実話をとりまとめて発表したもので、お話のほとんどはノンフィクションの物語です。このシートン動物記というタイトルは日本でのシートン小説の総称として使われていますが、実に動物小説が全55話もあり、中でもいくつかの物語は動物小説の金字塔として世界中に知れ渡っています。

 小学校低学年から中学年向けにいくつかの出版社が発行していますので、小学校の図書館には必ず揃っています。出版社によって小説そのもののタイトルは多少違っていますが、最も有名なお話と言えば「狼王ロボ」ですね。

狼王ロボ・灰色熊ワーブの一生・ギザ耳ウサギ

 狼王ロボ・灰色熊ワーブの一生・ギザ耳ウサギの3作は特に有名です。シートン自身が実際に対峙した狼王ロボとの荒々しくも切ない対決と結末、子ぐまの頃から一人で生きることを余儀なくされてしまった灰色熊ワーブのたくましくも孤独な物語、子供の頃にヘビと戦って耳をかみちぎられたギザ耳ウサギと母親ウサギの生き方など、どれも懸命に生きる命の躍動感に心が打たれます。

サンドヒルの牡鹿・だく足の野生馬・少年とオオヤマネコ

 サンドヒルの牡鹿、だく足の野生馬、少年とオオヤマネコ、この3作も勝手ながら個人的には大好きな作品です。サンドヒルの牡鹿は、若い猟師が素晴らしい体躯の堂々とした牡鹿を追い続ける物語、徐々に猟師の心に変化が出てくる様子は心が打たれます。

 だく足の野生馬は、誇り高く気高い野生馬が、人間に捕らわれながらも誇りを守り抜くお話、少年とオオヤマネコは、シートン自身が少年の頃に体験した生き残るための戦いの物語、いつまでたっても決して忘れる事の出来ない印象的な話として、勝手に大好きな作品です。

カラスの王銀の星・ティトオかしこいコヨーテ・スプリングフィールドの狐

 カラスの王銀の星は、とても頭のよいカラスが仲間達のリーダーとして、通信手段を巧みに使い、様々な苦難から仲間達を守っていくお話です。カラス語が作中に登場します。

 ティトオかしこいコヨーテは人間社会から逃げ出したコヨーテが、家畜を襲う方法や、罠を見抜く方法を知ったうえで、仲間とともに人間と対峙していくお話です。

 スプリングフィールドの狐は、人間に捕らわれた子供のために危険を犯して餌を運び続ける母狐のお話です。これらも勝手に大好きなお話でした。

大人も読みたいシートン動物記

 シートン動物記の小説はどれも短編で、非常に読みやすく書かれています。どれも動物の種類は違っても一生懸命に生きようとする生命を、時に力強く、時に儚く描いていて、子供の心に何かしらの感動を伝えてきます。この動物記を読んで「命」の尊さや「誇り」の気高さを知ったという方も多いと思います。大人になって、改めてこのシートン動物記を読み返してみたいと強く思う今日この頃です。

Rogueだけど冒険と自然と本が大好きなHunter&Writer