嶽神伝

鬼哭 ~嶽神伝~(長谷川卓 著)

鬼哭 嶽神伝第5幕 豪華メンバー再び

 刻は1556年~1570年、孤猿の後に続く物語です。四三衆の月草を頼って国を出奔した越後の長尾景虎(上杉謙信)。ここで驚くのは一介の山の者、月草を頼りに景虎が動くということです。

 もはや山の者は只物ではない集団である、と広く認知されていますね。当然、無坂も加わって、前作同様に山は大忙し。全く平和な時間が訪れません・・。

長尾景虎・誰が命を狙う・

 それにしても迷惑な話です。国の事は国で片をつけてほしいのに、「もう自由になるのだ。山の者として生きるのだ」などと言ったかどうかわかりませんが、勝手に出奔(ただの家出です)してきて頼ってくるなんて・・。単なる平民が言うわがままなら良いのですが、長尾景虎となると話は違います。

 何とか身柄を無事に確保したい越後の忍び「軒猿」、この絶好の機会に暗殺をしたいと考える「北条幻庵と風魔」の忍び。当然武田も動きます。今回は精鋭の「かまきり」に加え、凶悪すぎて忍びの里から出せない「あぶれもの」まで駆り出します。

 山の者は義理堅いので、義によって誰を助けるのか、誰を守るのかが決まります。またしても不本意な争いに巻き込まれてしまいましたね。

各国の忍びの精鋭も知る「無坂」

 無坂も壮年期となり、以前の様な技の切れがなかなか・・という年齢です。しかし各国の国主、頭領、忍び集団の間ではもはや「無坂」は有名人。秘かに無坂を頼る、慕うという人が確実に増えています。これは無坂が嶽神への道を歩んでいるからなのか・・それはわかりませんが、本人が望まなくとも、確実にこの時代を動かしている人物になっています。

 忍びの間でも超有名人になっていますね。よくわからないが何故か「強い」と。

桶狭間の戦い・第4次川中島合戦 そして・・

 時代の大きなうねりに巻き込まれ、無坂を始め山の者たちは大きな戦いを見届けます。その場面によって、立場によって、山の者と共闘したり離れたり、里の人達は身勝手です。

 桶狭間でも大きな役割を果たし、川中島でも大きな転機を迎える山の者。本当に何度も言いますが、いつになれば彼らに平和は訪れるのでしょうか・・。

 怒涛の展開は相変わらずで、無坂の旅はあと1幕で終焉します。

Rogueだけど冒険と自然と本が大好きなHunter&Writer