KAPPA(柴田哲孝 著)
ルポライター 有賀雄二郎
KAPPAはノンフィクション冒険小説作家、柴田哲孝さんがCBSソニー出版から1991年に初版刊行したミステリー小説です。現在は文庫本としても出版されています。(プロフィール – 柴田哲孝 Official web site (shibatatetsutaka.com) 経歴からしていかにもワイルド、冒険好きということがビシビシと伝わってきます。
さてこの作品ですが、主人公は今は仕事の少ないルポライター、有賀雄二郎(33歳)。かつて売れた時期もあったようですが、納期を守らない(ダメじゃん・・)と業界で評判となり、仕事が減ってしまったようです。かなりのアウトサイダー?というか自由奔放な取材生活をしていて一年の半分以上は外国の僻地をまわっているという冒険野郎です。学生時代に結婚はしたものの30歳で離婚。別れを切り出されたときに、迷うことなく全ての財産を妻に譲り家を飛び出しています。(ダメじゃん・・)なんせ常日頃、身軽になりたい、と思っていたそうなので・・(本当にダメじゃん・・)
舞台は茨城県の牛久沼
さて物語の舞台は茨城県の牛久沼。(牛久沼 – Wikipedia) この沼で釣り(ブラックバス)をしていた男性が上半身を引きちぎられた死体で発見されました。新聞で「釣り人カッパに食われる?」という記事を偶然目にした冒険野郎の有賀雄二郎は、「知人が河童に食べられた」という牛久署への通報から事件が発覚したことを知り、何か引っかかるものを感じ動き出します。
河童伝説の残る牛久沼
KAPPAを読むまでは全く知らなかったのですが、牛久沼は河童伝説が残っている沼なんですね。茨城県龍ヶ崎市にある沼で周囲は25.5㎞、最大水深3m。大きな沼です。牛久市のHPにも紹介されていました。(牛久沼 | 牛久市公式ホームページ (ushiku.lg.jp)) できれば近いうちに訪ねてみたいと思います。
茨城の観光百選にも選ばれているそうですし、何より風光明媚な景色から、多くの画家や詩人、文人に愛されているというのでよほど綺麗なところなんだと思います。釣り人も多いようですね。
混迷を極める捜査
物語に戻りますが、この事件は猟奇殺人事件なのか、はたまた何かの偶然が重なった事件性の高い事故なのか、それとも得体のしれない何かの仕業か・・とにかく手掛かりが少なく地元警察の捜査は難航を極めます。冒険野郎の有賀雄二郎、地元警察のはみだし刑事、牛久沼の老猟師、引き籠りの少年がチームとなってこの難事件に挑みます。
何しろタイトルがKAPPAなので、本当に河童が実在するのかしないのか、河童でなければこの事件の真相は何なのか、ハラハラワクワクドキドキと夢中で一気読みしてしまいました。
今後、放浪冒険ルポライター(勝手に役付けしています)の有賀雄二郎は更なる奇怪な事件にも首を突っ込んでいきますので、そちらも乞うご期待です。