TENGU(柴田哲孝 著)
TENGU(天狗)第9回大藪春彦賞受賞作品
TENGU(天狗)は2006年7月に初版発行、推理小説として第9回大藪春彦賞を受賞した柴田哲孝さんの代表作の一つです。ジャンルとしては推理小説なのでしょうが、TENGUというタイトルからは全く内容が想像できませんね・・。
前にお話しした「KAPPA」の主役として登場した風来坊の冒険野郎ルポライター(また勝手に呼んでます)有賀雄二郎も登場するのですが、今回は主人公に助言、サポートする役柄に徹しています。何だかとってもダンディーにワイルドにハードボイルド感を出しながら登場しています。
天狗といえば妖怪?UMA?
さて、TENGUのタイトルについてですが、一般的には「天狗」は妖怪という認識ですよね。他にも信仰の対象として「〇〇山」の「〇〇坊」という神様の扱いを受ける大天狗もたくさんいます。よく考えた事はないのですが、善なのか悪なのかもよくわかりません。
イメージとしては鼻が高くて赤ら顔で羽が生えていて、山伏の服装に扇子?を持っている感じかな。身体もたくましくて大きそうなのでけっこう怖いイメージです。(勝手なイメージですが・・)そういえば、牛若丸に稽古をつけたのも天狗でしたよね。ということは・・いい人なのかな??
これは本当にミステリーなの?
TENGUのストーリーに少し触れておきます。舞台は群馬県北部の沼田市。この沼田市の山中にある寒村で26年前に凄惨な殺人事件が発生しました。この事件は後に大量殺人事件へと発展するのですが、日本国内に駐留する米陸軍の政治的介入によって事件は被疑者不明のまま迷宮入りしてしまいます。
3人が殺された最初の殺人事件の死体はまるでダンプカーに轢かれたかのような損傷具合。うち一人は頭が握りつぶされているような状態で発見。事件の少し前には飼い犬が殺されていたり、農作物の食害被害が相次いでいて、「天狗を見た」という目撃情報まで出回っていました。
寒村ではありえないような猟奇連続殺人事件が起こったのですが犯人は不明。この事件に再び着目し動き出したのが中央通信の道平記者。彼は26年前も新人記者としてこの事件を担当していました。この道平記者に、今なお事件の解明に執念を燃やす当時の警察鑑識官が独自の捜査資料を託します。
正直に言うと、読み進めるうちに、この小説は推理もの?ホラー系?UMAミステリー?とわからなくなります。時代も26年前と現在を交錯しながら進むので、26年前(昭和49年)はこんなに怖い雰囲気なんだ・・携帯ないと怖いじゃん・・と思わずにいられません。(所感です)
天狗の仕業かUMAビックフットの仕業か
事件は思いもよらぬ展開に進んでいきますが、ここで主人公の道平記者を導いてくれるのが有賀雄二郎です。何しろ彼はUMAも冒険も大好きですから、そのあたりを苦手とする道平記者を無償で助言して手助けしてくれます。(自分がおもしろい記事を書くためにですが)
事件の異様さからとてつもない怪力の持ち主(それこそ天狗、ゴリラ、ビックフットなどなど)の仕業かもしれないという話になるのですが・・果たして真相はいかに・・
TENGU・・推理小説ですね、これは。犯人を延々と想像して推理しますので・・推理小説です!