UMA,  動物,  自然

WOLF(柴田哲孝 著)

いよいよ日本一の注目UMAの謎へ

 お待ちかねの冒険野郎(勝手に言ってます)ルポライター、有賀雄二郎登場作品5作目です。今回はいよいよニホンオオカミの生存伝説に踏み込みます。カナダの大学で森林科学を学ぶ息子の雄輝を本格的に巻き込んで、奥秩父・両神山を舞台にミステリーの幕が開きます。

率直に言うと、ニホンオオカミを絡めた小説はとても難しい(書くのも読むのも)と思っています。(個人的な所感ですが・・)ニホンオオカミの生存の可能性にどうしたって触れずにいられませんし、その可能性の可否、是非にも関わらなければいけません。

 生態そのものの研究が行われていないニホンオオカミですから、伝承や残された数少ない資料によって、その生きた姿を想像し、科学的な分析結果と整合させながら、日本の山地でどのように生きていたのか、その仮説を組み立てていかなければ物語が作れません・・。ものすごーく大変そうなので、今回は難しいことは抜きにして、勝手ながら気楽に楽しく読ませていただきました。

有賀雄二郎の軌跡

 冒険野郎、有賀雄二郎は初回作の(KAPPA(柴田哲孝 著))から(RYU(柴田哲孝 著))、(TENGU(柴田哲孝 著))、(DANCER(柴田哲孝 著))と数々のミステリー、UMAと対峙してきました。本人が進んで関わっていたという感が強いですが、今回もかなりの乗り気で「山犬らしき大型動物の群れ」が徘徊しているという両神山に出動します。息子の雄輝もオオカミ生態の専門家として同行、謎の大型動物を追っていきます。

 ニホンオオカミ(ニホンオオカミ 再発見の壁)、ヤマイヌ(ヤマイヌ・・とは?)、野犬(ノイヌ・・とは?)など、日本に伝わる数々の伝承や風習、森林オオカミの生態やニホンオオカミの関する仮説など、とてもたくさんの情報が有賀親子の会話を通して語られます。

納得の結末

 それにしてもよく調べてうまく仮説を組み立てているなぁ、と感心しながら読みました。

 個人的には物語の背景からストーリー、展開や情報量、もちろん結末まで・・大好きなお話でした。大満足、納得の結末です。読んでよかったなぁ・・。

 また有賀親子の活躍を早く読みたいです。この親子、どんどん似てきている気がします。こんな風な距離感の親父と息子ってかっこいいですね。どんどん面白そうなミステリーに親子で首を突っ込んで行ってほしいと思います。

Rogueだけど冒険と自然と本が大好きなHunter&Writer